写真撮影をスムーズに進行するために事前の準備はとても大切です。
特に、複数のシーンや撮影場所がある場合、参加者みんなが同じ内容を把握しておくことが、予定している写真を撮影する上で重要になります。
そこで登場するのが「香盤表(こうばんひょう)」です。
香盤表とは、撮影現場で必要なシーンや役割を整理し、「誰が・いつ・どこで・何をすべきか」を明確にするための“タイムスケジュール”のことです。
香盤表はこんな感じです。⇩
この記事では、香盤表の役割や作成のコツ、実際にどのように活用できるのかを詳しく紹介していきます。
写真撮影における香盤表の役割
香盤表には、「誰が・どこで・いつ・何を」するかが細かく書かれています。
香盤表があると、撮影に関わる人たちが「次は何をするのか」「どのシーンを撮るのか」をすぐに確認でき、無駄な時間が減らすことができて効率的に撮影を進めることができます。
また、香盤表にはこんなメリットもあります。
- 撮り忘れを防げる:必要なシーンや写真をリスト化しているので、「あのカットを撮り忘れた!」というミスが防げます。
- 時間が管理しやすい:各シーンごとに予定時間を決めておけば、スムーズに進行できて、遅れが減ります。
- みんなで同じイメージを持てる:撮影の流れを共有することで、チームの連携が良くなり、現場での混乱が少なくなります。
香盤表を事前にしっかり作っておけば、撮影現場が慌てずに進みやすくなり、予定通りの時間で、希望の写真を撮影できるようになります。
香盤表は現場で起こりがちなトラブルを防ぐ
香盤表は、撮影現場で発生しやすい「うっかり」や「参加する人の認識の違い」を防ぎ、撮影の流れをスムーズにするためのリストです。
写真撮影には多くの人や場所が関わるため、香盤表がないと小さな行き違いやトラブルが起こりやすくなります。
ここでは、香盤表がどう役立つのか、現場でよく起こるトラブルの例を交えながらわかりやすくご紹介していきます。
「撮り忘れ」を防いで大事なカットを逃さない
香盤表がないと、撮影すべきシーンやカットを思わず忘れてしまうことが起こりがちです。
たとえば、コーポレートサイト用の写真撮影では「社員のポートレート写真」「部門ごとのグループ写真」「仕事風景」などが必要ですが、撮り忘れてしまうと、あとから追加撮影をする手間が発生してしまいます。
香盤表には、こうした撮影カットを事前にリストアップしておくため、現場での撮り忘れを防ぐことができます。
時間が足りなくなった!を防ぐ
例えば、コーポレートサイト用の写真撮影には多くのシーンがあり、時間が足りなくなりがちです。
香盤表があれば、各シーンの撮影時間をあらかじめ決め、スケジュールを管理できるため、時間が足りなくなる心配が少なくなります。
各シーンの撮影にかける時間配分を意識しながら進めることで、慌ただしく終わらせるカットも減り、全体的にクオリティの高い写真が撮影できます。
関係者全員が「次に何をするか」を把握できる
写真撮影には、たくさんの社員やスタッフが関わります。
香盤表で撮影の順序や撮影する写真のイメージが共有されていれば、各担当者が「次はどのシーンか」「どの位置に並ぶべきか」を理解しやすく、撮影現場がスムーズに進みます。
場所やシーンの急な変更にも柔軟に対応できる
写真撮影では、屋内外の異なる場所や多様なシチュエーションでの撮影が必要になるため、スケジュール変更が必要なこともあります。
香盤表があれば、撮影の優先順位や代替案を確認し、状況に応じて順序を入れ替えたり、シーンを変更したりといった柔軟な対応ができます。
香盤表の基本と作成手順|撮影現場を円滑に進める方法
香盤表を初めて作るときは、どこから手をつけていいか迷うかもしれませんが、いくつかのポイントを押さえれば簡単に作成できます。
初心者の方でも取り組みやすい、香盤表の作成の基本的な流れを紹介していきます。
香盤表を作成することで、トラブルのリスクも軽減できて、撮影をスムーズに進めることができます。
撮影内容と目的を明確にする
香盤表の最初のステップは、撮影内容と目的を明確にすることです。
これは、撮影する写真のイメージをより具体的にするための重要な部分になります。
たとえば、「仕事をしている人たちの雰囲気を伝える」「オフィスの雰囲気を伝える」など、最終的なイメージが共有できていれば、準備が進めやすくなり、現場での参加者同士の意思疎通にも役立ちます。
以下のような項目をリスト化しておくとスムーズです。
- 撮影テーマ・目的
- 期待するイメージ(たとえば、信頼性と安心感・革新性と挑戦する姿勢・働きやすさと職場など)
- 優先カット(絶対に押さえておきたいシーンやアングル)
例えばこのように
目的:企業のイメージを伝え、ターゲット層に響く写真を撮影する
撮影内容の例:
- 社員のポートレート写真:各社員の個性を引き出し、親しみやすさを表現する。
- 部門ごとのグループ写真:各部門のチームワークや専門性を示し、組織の一体感を伝える。
- 仕事風景:オフィス内での真剣な仕事の様子や、チームでの打ち合わせ風景など、プロフェッショナルな雰囲気をアピールする。
- 社員の談笑写真:自然な笑顔やリラックスした瞬間をキャッチし、企業文化や働きやすい環境を伝える。
- ミーティング風景:チームメンバーが集まり、アイデアを自由に出し合っている場面を捉えます。ホワイトボードにメモが書かれていたり、ポストイットが貼られている様子を撮影することで活発な議論を表現できます。
撮影の順序を決める
次に、効率よく進められるよう撮影の順序を決めます。
撮影場所やシーンの順番を工夫すると、時間と手間を省けます。
たとえば、「明るさが必要な屋外撮影は朝一番に終わらせる」「全員参加が必要な集合写真は先に撮る」といったように、流れを考慮した順番にすると、移動による時間のロスを減らせたり、参加者のスケジュールの調整もやりやすくなります。
- 時間帯に合わせた順番:自然光が必要な撮影は早めに、夕暮れシーンが必要なら後回しに。
- 撮影の場所ごとにまとめる:同じ場所で撮影する写真はまとめることで、移動時間を節約。
- 撮影に参加する人の撮影シーンもまとめる:参加する人のスケジュール確保を最小限にできる。
必要な情報をすべて記載する
香盤表には、撮影日に必要な情報を漏れなく記載しましょう。これにより、現場での確認が簡単になり、準備の漏れが防げます。
情報を記入する際には、各パートが混同しないよう、カテゴリごとに整理して記載すると見やすくなります。
- 日時・場所:撮影日時、各シーンの撮影場所を具体的に記載。
- 参加者:担当者名とその役割。
- 撮影内容:カットの内容、撮影角度、カメラの設定、光の使い方などの詳細。
- 撮影するイメージ写真:イメージ写真を添付することで、どのような写真を撮影するかが明確になる。
カメラマンと香盤表を共有をする
香盤表が作成できたら、まずはカメラマンに共有しましょう。
シーンの撮影時間はもちろん、撮影のセッテイング時間や場所の移動時間なども含めた時間を確認してもらいます。
撮影内容によりセッテイングの時間は変わりますし、ここはもっと時間が欲しい、とか、ここはもっと時間を少なくしてもOK!など、撮影時間も変更があるかもしれません。
カメラマンが撮影前に撮影場所の下見(ロケハン)をしていない場合は、撮影当日に希望する撮影イメージに合わせて場所を決めたり、構図(アングル)を決めることになります。この構図を探って、撮影イメージとすり合わせて、場所のセッテイングをすることに実は時間が掛かります。
カメラマンとしっかりとコミュニケーションを取ることで、撮影のクオリティーを高めることができます。
事前に関係者へ共有する
香盤表を完成したら、撮影当日までに関係者全員に事前に共有しておきましょう。
チーム全体が同じ情報を持つことで、現場での質問が減り、スムーズな進行につながります。デジタルツール(GoogleドライブやPDF共有など)を使って、誰でも簡単にアクセスできるようにしておくと便利です。
- 事前確認をしてもらう:関係者に香盤表の内容を確認してもらい、撮影前に意思疎通をはかります。
- 簡単にアクセスできる形式で共有:スマートフォンやタブレットから見やすい形式で提供すると、現場でも確認しやすくなります。
まとめ:香盤表で撮影の完成度と効率を高めよう!
香盤表をしっかり準備しておくことで、トラブルや準備不足を防ぎ、スムーズに撮影を進め、クオリティーの高い撮影をすることができます。
初めての方でも簡単に取り組めるので、ぜひ香盤表を取り入れて、効率よくイメージした写真を撮影してもらいましょう!